2025.7. 7在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究

川村 唯華さんが日本写真測量学会で「学術講演会論文賞」を受賞

6月12日・13日、東京大学生産技術研究所で開催された「日本写真測量学会 令和7年度年次学術講演会」において、川村 唯華さん(修士課程 建築・都市デザインコース1年/指導教員:国土情報処理工学研究室 高木 方隆教授)が「学術講演会論文賞」を受賞しました。

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学術講演会論文賞は、優れた発表をした30歳以下の若手会員に授与される賞で、論文と発表の内容、質疑応答が総合的に評価されます。令和7年度は、24名の中から4名が表彰されました。

今回受賞した研究テーマは、「UAV搭載カメラを用いたボクセルモデルによる葉面積指数LAIの推定」です。

これまで国土情報処理工学研究室では、ドローンや衛星などのデータから森林環境を解析するため、CTやMRIなど体の内部を立体的に可視化するときに使われるボクセルモデル(※1)に注目し、研究を進めてきました。
そのなかで課題のひとつとなってきたのが「葉面積指数」(LAI/※2)を推定する手法です。

葉面積指数は、二酸化炭素の吸収量などを評価する基本的な指標で、一般に光学機器を用いて、森林内での光の減衰量などをもとに推定されてきましたが、日照など測定環境にデータが左右されるといった問題点があります。

そこで今回、川村さんたちが注目したのが形です。
川村さんたちは、ドローンで撮影した1本の樹木の測量写真から、「葉」の平たい形状と、それ以外の「枝」「幹」の線上に伸びる形状を精度よく区別することで、葉面積指数を推定できる手法の開発をめざしました。

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[対象となった樹木の実際の葉面積指数も調査]
(写真提供:国土情報処理工学研究室)

その結果、樹木を12㎝四方の立方体(ボクセル)に区切り、ボクセル毎に、面に対して垂直なベクトル(法線ベクトルのZ成分)を抽出し、解析することで、実際の葉面積指数に近い推定値を導きだすことができました。

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今回の受賞を受けて、川村さんは「まずは指導してくださった高木先生、村井先生(現・高知大学)、研究室のメンバーに感謝します。今回の発表は、卒業論文の集大成だと思っていて、2月の卒論発表会でうまくできなかった質疑応答も、事前に高木先生と準備を重ねてのぞむことができました。まだまだ研究でやりたいことも残っているので、大学院では先生の指導を受けるだけではなく、主体的に考え研究できるようにしていきたいです」と語りました。

大学院では、衛星のデータを使って森林のフェノロジー(生物季節)を広く、正確にとらえる研究を行っていく予定です。

(※1)ボクセルモデル

ボクセルとは三次元空間を微小立方体で区切ったもので、その微小立方体それぞれに属性を与えたデータモデルです。地表に存在する物体の複雑な情報を保存することができるため,自然環境を表現するのに適したモデルであると考えられています。

(※2)葉面積指数(Leaf Area Index:LAI)

単位土地面積あたりの片側葉面積の総和。光合成による森林の CO2 吸収量や蒸散量の推定値に大きな影響を与えるため、盛んに研究が行われてきました。

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