2019.5.31在学生・保護者 / 地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

新規光機能材料の開発について伊藤講師が講演しました

5月29日、ココプラ(高知県産学官民連携センター)主催の「令和元年度 第2回シーズ・研究内容紹介」で、伊藤 亮孝 講師(環境理工学群/総合研究所 物質創成工学研究センター)が、「光と分子で織りなす科学~新規光機能材料の開発~」と題し、光吸収・発光物質、「目に視える」という様々な光の特徴と、それを活かした新しい機能材料の開発について紹介しました。

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講演の冒頭では、光は電磁波の一種であり、物質が光を放出したり吸収することで色がついて見え、光を混ぜると色が変わることを紹介しました。
これについて、光の放出による発色現象は、光の3原色であるR、G、BのLEDライトを使って光を重ね合わせることで様々な色を作り出す実験を行い説明しました。また、光の吸収による着色は、絵具を混ぜる場合の色の出方により説明しました。

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その上で、物質による光の吸収や放出についてや分子のことをさらに詳しく理解し、2種類の物質の水溶液を混ぜる、分子の構造を少し変化させるといったアプローチから、望みの色あいや強さ(濃さ)をもつ色素や有機ELなどの発光デバイスに利用できる色素が開発されてきたことを紹介しました。

さらには、光をエネルギー利用する方法として、太陽光を吸収し電気エネルギーに変換する太陽電池が開発され、将来に向け、光吸収能を色素で補う高効率な色素増感太陽電池が開発中であることが説明されました。
また、人工光合成反応といった、吸収した光エネルギーを別種のエネルギーへと変換するシステムや、特定の物質や温度による発光を検出する各種化学センサー、光吸収に応じ効率よく駆動する光反応システムの開発など、今後の応用の可能性があることも紹介されました。

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会場には地元企業関係者や大学生、高校生、研究分野の行政関係者など38名が参加し、熱心にメモを取りながら聞き入っており、講演後の質疑応答では、「色素合成は科学的理論に基づき行うか」、「物質の検出はフッ素以外でも可能か」、「今日紹介された環境センサーや人工光合成などの事業化例はあるか」などの質問が次々に飛び交いました。
伊藤講師は、それぞれに回答し、本研究分野について、コスト高や低効率、物質を作り出すこと自体が難しいなどの実用化に向けた課題を説明し、参加者への共同研究参画を呼び掛ける場面もありました。

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聴講した地元企業で研究開発を担当する方からは、「私は開発部門で化学分野をメインとして研究開発を行っています。自分の分野以外の研究テーマでも、それが身近なものとどう関わっているかなどを、分かり易く説明していただくと、自分の研究にも活かせるきっかけになると思いました。今後も大学の研究者と直接情報交換できるこのような機会を沢山作っていただきたいです」との感想がありました。

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