2021.7.12在学生・保護者 / 地域・一般 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

民間単独開発ロケット「MOMO7号機」で2度目の観測実験に成功

7月3日、システム工学群 山本 真行教授が開発した超低周波音(インフラサウンド)計測器を搭載した民間単独開発ロケット「MOMO7号機(インターステラテクノロジズ株式会社(IST社) 開発)」の打ち上げが成功し、本学は成層圏上部から熱圏下部での観測実験による貴重なデータの採取に成功しました。

民間単独開発ロケットの宇宙空間到達は2019年5月MOMO3号機以来のことであり、同実験に続き、それによる科学実験も日本で2度目となりました。

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(提供 インターステラテクノロジズ株式会社)

射場である北海道大樹町には、山本教授をはじめ同研究室の学生2名が6月25日から順次出向き、燃焼試験時の騒音データによる予備実験、ロケット先端部に搭載した計測器の事前動作チェック、地上での観測機器群の準備、および打ち揚げ花火の準備を行いました。

山本教授は、ロケットが空気の薄い高層大気を放物線軌道で通過する間に、ロケット先端部に搭載した機器自身が定期的に発するブザー音と大樹町内から打ち揚げる花火により発生させたインフラサウンドとを、ロケット内の計測器で観測する実験を行い、今回、MOMO3号機との比較実験データの採取に成功しました。
また、同花火により発生させたインフラサウンドや、ロケット下降時に発生した衝撃波を地上10カ所で観測する実験も同時に行いました。

空気の希薄な環境での音の伝わり方を分析するという、観測ロケットでしかできない実験を成功させ得られた今回のデータは、今後、津波・雷・台風・噴火等の災害に繋がる自然現象を観測することや、火星等の他天体での探査のための技術向上につながる重要なものとなります。

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(観測ロケット先端部に搭載したインフラサウンド計測器 左からメインマイク、サブマイク、ブザー)

山本教授は「比較実験のデータ採取に成功し、嬉しく思います。IST社ならびに本実験に関係された皆様方に感謝申し上げます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響や一部機器の不具合を受けてMOMO7号機の打ち上げは1年延期となりましたが、この間にロケット機体はバージョンアップされ「はやぶさ2」帰還時の観測等の経験によりインフラサウンド計測器の品質も向上しました。今後、データの分析を行い、前回の実験データを参照しつつ比較・解析し総合的な理解が深まることを期待しています。次回は、よりクオリティの高い実験を行えるよう準備していくとともに、学生提案の実験機器の搭載も実現できればと考えています」と実験成功の喜びと今後の抱負を語りました。

水野 和樹さん(大学院修士課程 航空宇宙工学コース 1年)は「ロケットに搭載したブザー音のデータを宇宙空間で採取することに成功し、大変嬉しく思います。打ち上げ成功時には自然と涙がこぼれました。昨年のMOMO5号機の打ち上げ以降、やりきれない気持ちを抱えたまま1年を過ごしてきましたが、今回は準備していた実験を全て成功させることができました。これからデータの分析に忙しくなることを考えるとワクワクしています。貴重な経験をさせていただき、関係者の皆様に大変感謝しております」と語りました。

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