2022.3.24在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

学生3名が公益社団法人計測自動制御学会SICE優秀学生賞を受賞

本学学生3名が「公益社団法人計測自動制御学会SICE優秀学生賞」を受賞しました。
本賞は、計測自動制御奨学を目的に2021年度に制定され、大学院博士前期課程(修士課程)修了者、4年生大学学科卒業者、2年生短期大学学科卒業者、および工業高等専門学校学科・専攻科卒業者で人格・学業ともに優秀な学生に対し贈呈される賞です。

大学院修士課程 情報学コース 2年 窪田 伊織さん
研究題目「ショウガ根茎腐敗病検出を目的とした葉の動きの定量化手法の検討」
窪田さんは、画像情報工学研究室(栗原 徹教授)に所属し、画像処理を用いた葉の動きの定量化方法について研究をしてきました。
ショウガに発生する病害の中で最も多い根茎腐敗病は、発病株を中心に二次伝染が起こりやすいという特徴を持っており、目に見える症状が確認されるころには被害が拡大していることが多い厄介な病害であるため、早期に検出する方法が求められています。
そこで窪田さんは、病害を早期検出するために、病原菌を意図的に接種したショウガと接種していないショウガの葉の動きを発病が確認される1週間ほど前から画像で観察しました。その結果、発病が確認される2、3日前から葉の動きに差が出ることを発見したため、これを利用して根茎腐敗病を検出できる「葉の動きの定量化方法」を提案しました。この研究が進むと、ショウガ根茎腐敗病に感染したショウガを早期に取り除くことができるようになり、この病害による被害を大幅に抑えることができる可能性があります。

受賞を受けて窪田さんは「研究活動を支えてくださった栗原教授をはじめ、高知県農業技術センターの皆様に心より感謝申し上げます。研究を進めていく中で、次世代の農業を支える新しい農業ICTの可能性を沢山感じることができました。約20年暮らした高知県特有の研究に携わり、微力ながら貢献できたことを嬉しく思います。今春からはシステムエンジニアとしてソフトウエアの開発職に就く予定です、社会経験を積んでいつかまた農業ICTに携わる仕事をしたいと考えています」と感謝と抱負を語りました。

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大学院修士課程 電子・光コース 2年 楠瀬 翔也さん
研究題目「部分的重み付けを用いた免疫細胞選択時における近接細胞の単体選択精度の改善」
楠瀬さんは、Soft Intelligent SoC研究室(星野 孝総准教授)に所属し、深層学習による画像解析について研究してきました。
人間の保有する免疫細胞は、身体の免疫機能の一端を担う重要な細胞であり、免疫細胞の活動量を解析することで、その免疫細胞を保有する人間の免疫力がわかると言われています。現在用いられている免疫細胞の自動追跡システムには、手動操作での解析対象指定と、一度に指定できる免疫細胞の個数は一つであるという制約があり、解析作業には大変な労力がかかっています。そこで楠瀬さんは、これまで手作業で行われていた免疫細胞の活動量解析を完全に自動化することをめざし、深層学習を用いて解析対象となる複数個の免疫細胞を自動で指定するための手法を提案しました。
具体的には、体組織動画のフレーム画像からパッチ画像を切り出し、切り出したパッチ画像が免疫細胞かどうかを畳み込みニューラルネットワークを用いた分類器によって識別、分類器の出力に応じて免疫細胞が認識されたかどうかを判断しました。さらに、近接して存在する免疫細胞の単体選択の精度改善を行った結果、既存の手法よりも高い精度で単体選択性を得ることに成功しました。

受賞を受けて楠瀬さんは「研究内容が評価され大変嬉しく思います。研究活動を支えてくださった星野准教授をはじめ、四宮 友貴助教、研究室のメンバーに心より感謝申し上げます。学部3年次生の時に星野准教授の『電子システム設計』の講義を受講して、プログラミング言語を使った画像処理に興味を持ちました。研究室のメンバーはそれぞれ違うテーマで研究をしていましたが、分野が違うからこそ視点の違った方法でのアプローの仕方をアドバイスしてもらい、研究にはコミュニケーションが必要だと実感しました。今春からはWeb系エンジニアの職に就きます。リモートが多い時代とはいえ、人と支え合える社会人になりたいです」と感謝と抱負を語りました。

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情報学群 4年 末廣 いのりさん
研究題目「3DLiDARによる点群データからの葉数推定に関する基礎的検討」
末廣さんは、画像情報工学研究室(栗原 徹教授)に所属し、LiDAR※1およびSLAM※2と呼ばれる技術から得られる3次元点群データを用いて、ゆず樹木の葉数を推定する方法を提案しました。
光合成により栄養分を生成する植物にとって葉数は非常に重要なものであり、生成された栄養が果実に蓄えられるため葉数によって適切な果実数が決まってきます。この推定方法が確立されれば、栽培農家は経験と勘に頼らず必要なだけ摘果を行うことができるようになり、不作の隔年減少を減らし、安定した生産につなげることができます。
※1 LiDAR(Light Detection And Ranging)とは、レーザー光を用いて距離センシングと二次元又は三次元の空間イメージングをレーザー画像から行う技術。 ※2 SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とは、自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術の総称。

受賞を受けて末廣さんは「研究成果が評価され大変嬉しく思います。アプローチの方法など多くの助言をいただいた栗原教授に感謝申し上げます。先行研究が少ない研究分野が故に参考となる知見も少なく苦労しましたが、木の特長を捉え可視化することで推定の精度があがった時には達成感を感じました。修士課程でも引き続きこの研究を進展させる予定ですので、先駆者として研究室の後輩たちの道しるべとなれるよう研究に邁進していきます」と喜びと抱負を語りました。

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