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山本 耕大さんが第64次南極地域観測隊(夏隊)の同行者に選出されました

10月31日、政府の南極地域観測統合推進本部は、第64次観測隊の追加隊員等を発表し、山本 耕大さん(大学院修士課程 航空宇宙工学コース 1年/大阪府・私立大阪電気通信大学高等学校出身)が夏隊の研究観測(萌芽研究観測)の同行者として参加することが決定しました。学生の南極観測隊参加は開学26年目初の快挙です。

山本さんは、宇宙科学研究所(ISAS)の田中 智教授が代表を務める「南極観測用ペネトレータの開発としらせ氷河および周辺域での集中観測(萌芽研究観測)」のメンバーとして既に南極観測隊に選出されている西川 泰弘助教(システム工学群)の研究補助として同行します。このプロジェクトは、南極などの温度・環境・観測システムを設置するには障害や危険が数多く存在している地域において、自然現象を観測するシステムを効率的かつ経済的に整備するため、「観測できる場所での観測」ではなく、「観測したい場所での観測」を実現するための技術開発を目的としています。

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(写真:左 西川 泰弘助教、右 山本 耕大さん)

山本さんは、宇宙地球探査システム研究室 (指導教員:山本 真行教授)に所属し、地中探査レーダの開発とペネトレータの開発の2つのテーマで研究に取り組んでいます。地中探査レーダは、電磁波を使って地中内を非破壊で検査し地盤中の空洞やゆるみを調べるための手法であり、山本さんは将来、有人の宇宙探査で水資源をみつけるために、性能面で有利なもの、宇宙空間に持ち込める軽量化をめざして学部生の時から開発に取り組んでいます。

南極で携わる業務は、地震計などを搭載した「ペネトレータ」と呼ばれる先端の尖った貫入装置(直径10センチ、全長60センチ、重さ約10キロ)を投下する実験の補助です。具体的には、ペネトレータの投下時に使用するドローンの準備・写真の撮影、南極上空でのドローンの航路プログラミング、ペネトレータが故障した時の修理などの業務を担います。

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西川助教は、「自分の苦手な部分を補ってもらうために、山本さんに同行の話をしました。私はデータの解析や解釈、採取は得意ですが、機器の電子回路を理解して修理する部分は彼に頼っています。ですので、南極での実験は今や山本さんありきです。修士1年の大学生が休学せずに同行者として南極に行くのは稀なことですから、良い経験にしてもらいたいです」と期待を語りました。

山本さんは、「2021年の12月頃、西川先生から南極観測隊への同行のお話をいただいた際、高校や大学での技術系サークルでの活動経験を活かせると縁を感じ、挑戦してみようと思いました。南極では、ペネトレータに搭載されている地震計やインフラサウンド(※1)の物理探査を広く学び、経験値をあげたいです。南極は文明がない土地なので、大自然を相手にし、南極で風の音や足を踏みしめる音などの環境の音を聞くのも楽しみです。準備がとても忙しく大変だったこともあり、南極を存分に楽しみたいと思います」と語りました。

西川助教と山本さんが所属する夏隊は、11月11日に南極観測船「しらせ」で日本を出発し、昭和基地に向かいます。南極での行動日数は99日で、来年3月22日に日本に帰国する予定です。

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(写真提供:国立極地研究所/1枚目:昭和基地、2枚目:南極の氷河)

本学香美キャンパスのグラウンドで実施したペネトレータの事前実験動画はこちらから

※1 インフラサウンド
インフラサウンドとは周波数 20 [Hz]以下の音である。人間の可聴域は 20 [Hz]から 20 [kHz]程度であるため、インフラサウンドは人間には聞こえない可聴域未満の音である。インフラサウンドは、特性周波数が低いため長距離伝搬できる特徴がある。インフラサウンドは、火山噴火、地震、津波、落雷、土砂崩れ、大規模爆発などの災害をもたらすような事象によって発生することが知られており、これらをリモートセンシングすることで、災害の早期探知や規模解析を行うなど、減災に活用できると考えられる。

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