2023.2.27在学生・保護者 / 地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

上村 浩教授らの研究グループが実施した「地域医療を支える四国病院経営プログラム」が事後評価において「S評価」をいただきました

文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」の事後評価において、経済・マネジメント学群の上村 浩教授、高知大学、香川大学 、高知県立大学の研究グループが実施した「地域医療を支える四国病院経営プログラム」が、最高評価である「S評価」をいただきました。

四国病院経営プログラムは、「実践力」を備えた病院経営トップマネジメントと病院経営に参加する現場責任者を養成することや、「即戦力」を鍛えるカリキュラムを新たに導入することで、待ったなしの病院経営分野に突破力がある人材を送り込むことを目的とし、平成29年から令和3年までの5年間実施しました。

1395314_07_7.jpg

地域特異性の高い病院経営ではヒト・モノ・カネ・情報の経営4資源をバランスよく見定める経営の基本に加えて、地域の他機関との関係を良好に保つ"協調戦略"が必要となります。

上村教授は、四国病院経営プログラムで「病院経営学講義」「マネジメント入門」の2つの講義を担当しました。
必修科目である「病院経営学講義」は、石井 洋介氏(株式会社omniheal代表取締役/おうちの診療所中野院長)、物部 真一郎氏(高知大学医学部特任准教授)らと共に実施しました。講義では、経営は机上の空論ではなく、理論と実践の両輪による実学であるとし、病院経営のキーマンである病院長、副病院長などの経営責任者、医師、看護師、薬剤師、その他医療従事者に対し、病院経営に特化した人材育成を行いました。
具体的には、会計上の肝となる資産管理の概念を習得してもらい、損益計算書よる財務状態の推移の確認から、病院経営の機能性分析、収益性分析、規模が同じ病院での機能の比較を行い、問題点を明らかにしました。また、診療科の原価計算をおこない、病院収支に与える各科の影響を確認しました。それらの資料に基づき、外部環境分析と財務状況を考慮し、病院の中長期ビジョン、短期目標を設定し病院全体としてのバランススコアカードを「学習と成長の視点」「業務のプロセス」「顧客の視点」「財務の視点」の4つの項目で作成しました。その他にも、介護施設の経営改革や、医療機器導入のコストと利益の評価、高額医療機器の更新検討など、様々なテーマで、それぞれの病院の特徴にあった実践的な経営改革に取り組みました。

令和2年度以降は、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、医療現場も未曾有の事態に陥りましたが、プログラムの質を落とすことなく柔軟に取り組みました。その一例として、令和2年10月18日に実施した病院経営公開シンポジウムでは、「アフターコロナにおける病院経営」をテーマとし、新型コロナウイルスによる医療組織の変化について掘り下げました。これまで医療組織は、おのおのの専門性を高めることが重要とされてきましたが、コロナ禍においては、専門家集団であるがゆえに医療の質が低下するケースもあり、病院経営が圧迫されたことを説明しました。これにより、医療現場でのゼネラリストの必要性や、日本の医療教育のあり方にまで議論が深まりました。

これらの取り組みが「計画を超えた取り組みが行われ、優れた成果が得られていることから、本事業の目的を十分に達成できたと評価できる」と高く評価されました。

★8B0A2812.jpg

上村教授は「中間評価に続き、事後評価でもS評価をいただき大変嬉しく思います。医療は、公的組織、専門家集団、医療制度の中で運営しているので制度依存的という特徴のある組織です。この様な特別な組織が、どういった構造をもっているのかを理解できたことは大変勉強になりました。国民、県民のクオリティ・オブ・ライフに良い影響を与えるためには、病院の経営基盤や組織をどう組み立てるのか、本気で考える良い機会になったと思います。5年間のプログラムで得られた知見を活かして、今後は他の地域にも展開していきたいです」と語りました。

・関連ニュース
上村 浩准教授らの研究グループが課題解決型高度医療人材養成プログラムの中間評価においてS評価をいただきました

・上村 浩教授の研究紹介はこちらから

RELATED POST

関連記事