2022.3.31在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

学生4名が電気学会・電子情報通信学会・情報処理学会 四国支部奨励賞を受賞

本学学生4名が「電気学会・電子情報通信学会・情報処理学会 四国支部奨励賞」を受賞しました。
本賞は、電気学会・電子情報通信学会・情報処理学会の四国支部が合同で、四国内の大学・高等専門学校の特に優秀な学生に対し贈呈する賞です。

受賞者

大学院修士課程 電子・光システム工学コース 修了 秋山 美穂さん
研究題目「汎用SMFのカットオフ波長以下を用いた柔軟なユーザ容量制御モード分割多重OFDM方式」
秋山さんは、光制御・ネットワーク研究室(岩下 克教授)に所属し、光アクセス系でモード分割多重を用いたモードフォーミングネットワークによる大容量化とセキュリティの強化について研究してきました。
近年、5Gの導入や、新型コロナウイルス感染症拡大によるリモートワーク、リモート講義により、光アクセス系の伝送量が増加しており、大容量化とユーザごとの容量制御による伝送路の効率化が必要とされています。そこで秋山さんは、汎用シングルモードファイバ(SMF)のカットオフ波長以下である850nmの光をマルチモード光ファイバとして使用し、モードフォーミングネットワークによる柔軟なユーザ容量制御が可能な光アクセスネットワークの実現に取り組みました。使用波長を短くするとモード分散と波長分散により伝送帯域が制限されるという課題がありましたが、直交周波数分割多重(OFDM)方式を用いて並列に伝送することで分散による帯域制限を受けずにモード分割多重を実現することができました。また、ユーザのデータ量に対してOFDMのサブキャリアを柔軟に対応させることで伝送路の効率化を図ることができました。

受賞を受けて秋山さんは「受賞という結果を残すことができとても嬉しいです。光通信の専門知識をご教示、ご指導くださった岩下教授をはじめ、小林 弘和准教授、研究室のメンバーに心より感謝申し上げます。私は、高専での学びを深めるために3年次編入で高知工科大学に入学しました。思うように研究結果がでず辛い時期を過ごしたことも今となっては貴重な経験となりました。今春からは社会人になります、時間を効率的に使って充実した生活を送りたいです」と感謝と抱負を語りました。

★8B0A4743.jpg ★8B0A4490.jpg
大学院修士課程 情報学コース 修了 中 真咲さん
研究題目「商業イベントでの仮設店舗における大量物品販売業務の効率化方式」
さんは、コミュニケーション&コラボレーション研究室(敷田 幹文教授)に所属し、情報技術を用いた、人が密集する場所における混雑緩和支援について研究してきました。
ライブ・エンタテイメント等の商業イベントでは、開催が1回限りの場合が多く、会場規模や施設の条件から、短時間大量販売ゆえの慢性的な混雑、販売機会の損失等の課題が解決されず、業務効率化やデジタル化もほとんどなさせれていません。
本研究では、商業イベントにおける仮設店舗のレジ業務の分割とデジタルシステムの導入による、短時間大量販売業務の効率化方式を提案しました。
具体的には、イベント参加者が事前に購入したい商品を個人所有の端末から選択し商品の合計金額を確認、イベント当日に物販待機列からの特定の地点から位置情報と時刻を確認のうえで発注し、購入者および販売者が商品金額と購入商品を確認できるデジタルシステムです。これにより、従来の物販方式と比較して業務時間を50%以下に短縮することがき、人件費を削減しつつ業務時間を短縮できると推測できました。また、申告なトラブルの原因となる人為的ミスを減らし、購入者と販売者双方の負担を軽減できる可能性を示しました。

受賞を受けて中さんは「研究内容が評価され大変嬉しく思います。研究活動を支えてくださった敷田教授をはじめ、研究室のメンバーに心より感謝申し上げます。大学生活を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の影響をうけて留学等はできませんでしたが、社会全体の環境が変わったことで、大好きな音楽分野での情報技術を使った人とのコミュニケーションという研究テーマを着想することができました。今春からは医療関連の企業に就職し、産科に特化した電子カルテの開発を行う予定です。社会人になっても大学で培った経験を生かして新しいことに挑戦していきます」と感謝と抱負を語りました。

★★8B0A4534.jpg ★8B0A4275.jpg

システム工学群 卒業 山本 凌平さん
研究題目「単眼カメラを用いた自動走行ロボットの交差点制御の高精度化」
山本さんは、集積システム研究室(密山 幸男教授)に所属し、画像認識による自動走行ロボットの走行の安定化について研究をしてきました。
近年の自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われており、電動化、自動化などの研究・開発が急速に進んでいます。なかでも誤認識やシステムエラーによって交通違反や交通事故などがあってはならないため、自動車の自動運転には高い技術が求められています。
山本さんが所属する集積システム研究室では、自動運転に求められるFPGA技術の開発をめざして、モバイルバッテリーで動作する自動走行ロボットに関する研究を進めてきました。そこで山本さんは、自動走行ロボットの走行の安定性の向上を目的として、路面認識用カメラの映像確認と角度調整を行うことで路面認識精度の向上を図るキャリブレーション手法と、機体改造と制御の改良を行うことで外乱による影響を抑える2つの手法を提案しました。これにより、安定性の高い走行が可能であることを示しました。今後は、カメラの取り付け位置など機体の改造方法を再度検討し、障害物や歩行者等の回避、さらには渋滞などにも対応できる制御方法を検討し、実装する必要があります。

受賞を受けて山本さんは「研究成果が評価され嬉しく思います。親身になってサポートいただいた密山教授に感謝申し上げます。私は数学が好きで、カメラ画像の処理に数学がどんな風に使われているのかを学ぶため集積システム研究室を希望しました。教職課程と研究の両立は難しかったですが、興味のある研究はとても楽しく、研究室のメンバーで参加した自動運転コンテストで優勝できたことは貴重な経験となりました。大学で学んだ実学をいかして、今春からは数学の教師として精進していきます」と喜びと抱負を語りました。

★8B0A4793.jpg ★8B0A4350.JPG
情報学群 卒業 久保田 留奈さん
研究題目「3人プレイOtrioの完全解析の実現可能性」
久保田さんは、高度プログラミング研究室(松崎 公紀教授)に所属し、ゲームの完全解析(全局面について勝敗と最善手を決定すること)に取り組んできました。
チェスや将棋などの二人有限零和確定完全情報ゲーム※に関して多くの研究があります。完全解析には多くの計算資源が必要であり、「6×6盤面のオセロ」や「どうぶつ将棋」などの比較的小さなゲームが完全解析されています。
久保田さんは、2~4人で行うOtrioというゲームの3人プレイの場合を研究対象としました。3人プレイでのOtrioの完全解析の実現可能性について検討するため、必要なメモリ量および計算時間を求めました。その結果、3人プレイのOtrioの完全解析に必要なメモリ量は約768GB、計算時間は約366年であることが分かりました。この結果により、複数のコンピュータをうまく利用するなどの工夫をこらせば、3人プレイのOtrioを完全解析することが可能である見通しが立ちました。

※ゲーム理論によるゲームの分類の一つで、チェス将棋チェッカー五目並べなど、運に左右されないボードゲームの多くが二人有限零和確定完全情報ゲームに相当する。

受賞を受けて久保田さんは「初めて学会からの賞を受賞することができて驚きと嬉しさで胸がいっぱいになりました。プログラム作成において数多くの助言をいただいた松崎教授に心より感謝申し上げます。大学院では、人のゲームレベルに合わせるという観点で最適な手を判断できるAIのプログラム作成に挑戦したいと考えています。また、8月の国際会議での発表に向けて英語の勉強を頑張ります」と喜びと抱負を語りました。

★★8B0A4730.jpg ★8B0A4392.jpg

RELATED POST

関連記事