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- 「古民家を残す重要性」をテーマに「里山工学ゼミナール2025」を開催(第1回)
今年度、一般の方を対象に、全8回の開催を予定している「里山工学ゼミナール2025」。5月21日、第1回目のゼミナールを実施しました。
里山工学とは、歴史文化を背景に、科学的な知見に基づき、流域圏における自然と暮らしのつながりを追求する学問。本ゼミナールでは、国土情報処理工学研究室の高木 方隆教授を座長に、毎回異なるテーマのもと、独自の目線で里山と向き合う建築家や写真家、書道家、林業家らを招き、話題を提供します。
第1回目に、テーマとして掲げたのは「古民家を残す重要性」です。
というのも、本ゼミナール全8回の会場となるのは、香美市土佐山田町にある古民家を改修し、コワーキングスペースとして再生された施設。
第1回の発表は、この会場となる古民家を再生した立役者、渡部 美奈子さん(YOHAKU DESIGN株式会社)と、民家の形態とコミュニティーの関係性について各地で調査も行っている渡辺 菊眞教授(本学 環境建築デザイン研究室)が登壇しました。
最初の発表者は、23年間にわたって空き家の改修に携わり、特に再生が難しい建物を活用するため、積極的に交渉や設計に取り組んできた渡部さん(上の写真)。
今回は「空き家と地域」というトピックで、元の家主から新しいオーナーへ、より良い状態で住み継ぐため、古民家ならではの課題(都市計画法などの法律や、多数に上る相続人の問題、職人不足など)を柔軟にクリアしながら、次世代につなぐ自身の仕事の具体例とやりがいについて、熱く語っていただきました。
また渡辺 菊眞教授(上の写真)の発表は、「民家の典型と突然変異」について。農村、漁村、街村にみられる民家の典型的な形態を紹介し、環境や社会情勢の大きな変化によって生まれた"突然変異"ともいえる民家(室戸岬周辺にみられる高い石垣に囲まれた民家など)とその成り立ちを比較しながら解説しました。
さらに、そうした事例を踏まえ、単なる個人の趣味というよりも、共同体の意思が重なり合うことで住み継がれてきた典型の民家、あるいは"突然変異"の民家を継承していく重要性について話しました。
ゆったりした雰囲気で交わされるそれぞれの里山の未来像。
本ゼミナールの発表については、高木 方隆教授のホームページに、高木教授による解説や、今後のテーマ等が掲載されています
次回は、6月18日(水)17時から「トレーラーハウスの可能性」をテーマに、梅原 佑司特任准教授(風憬社、本学 建築意匠設計研究室)と、佐藤 理人准教授(本学 建築・都市環境工学研究室)が発表する予定です。
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