本学における生成AI利用方針

2023年10月1日
高知工科大学

1 大学の方針

 生成AI(または生成系AI)を適切かつ効果的に利活用することは、教育・研究活動の様々な段階において有益な成果を上げることに寄与する可能性が高いことから、本学では積極的に利用することを基本方針とします。
 ただし、現状では既存のデータにない新たな知見に関する分析や記述はできないことや、データの正誤についての判断ができないことを踏まえ、以下の点に留意して利活用するようにしてください。なお、本方針は、今後生成AI技術の進歩や社会での普及状況などに応じて随時適正に改訂しますので、最新の情報を参照するように注意してください。

(1)虚偽情報やバイアス情報が生成される可能性

 大規模言語モデルを活用した生成AIは、基本的に、ある語句の次に用いられる可能性が確率的に最も高い語句を出力することで文章を作成するので、AIにより生成された内容に虚偽が含まれている、またはバイアスがかかっている可能性があります。このように生成された情報であることを把握したうえで、インターネット検索等と同様に、出力された内容の確認・裏付けを必ず行ってください。

(2)不正行為の可能性

 多くの生成AIは、インターネット上の大量のデータを学習しているため、生成された情報をそのまま転用すると、意図せず「ねつ造」、「改ざん」、「盗用」、「著作権侵害」などの不正につながる恐れがあります。
 生成AIにより生成あるいは加工した文章、画像、プログラム等を利用する場合は、必ず利用したツール名や範囲等を明示した上で、適切な引用を行ってください。

(3)個人情報・機密情報漏洩の可能性

 生成AIの利用時には、設定によっては、問い合わせ内容などの入力された情報を蓄積し再利用する場合があり、意図せず情報が外部に漏れる可能性があります。特に、個人情報や研究上の機密情報の取扱いに十分注意し、これらを入力しないように注意してください

2 学生の皆さんへ

 大学における学修は学生が主体的に学ぶことが本質であり、授業や課題等で生成AIを利用することが自分自身の学びにつながらない可能性があります。一方で、生成AIの特性をよく理解した上で有効に活用すれば、格段に学修効果が上がる可能性もあります。
 それぞれの授業における利用については、到達目標や授業方法に応じて、生成AIの利用が推奨されることもありますが、試験やレポート課題の際には禁止される場合もありますので、担当教員の指示をよく聞いてそれに従ってください。また、生成AIを利用した場合には、必ず利用したことを明示(生成AIの種類、バージョン、範囲等)してください。その上で、生成した文章等と自らのアイディアを区別し、適切な引用を行ってください。
 卒業論文を含む論文作成など研究室活動における生成AIの活用については、指導教員の指示に従ってください。

 【学内限定】生成AI活用に関するガイドライン(教育・学修)

3 教職員の皆さんへ

(1)教育面での利用

 前述の1-(1)~(3)に代表される生成AIを利用する上での留意点を学生に十分周知した上で、授業を実施してください。
 学生の生成AI利活用を推奨する場合には、生成AIの特性を踏まえて、学修効果が上がるように工夫した課題等を提供してください。例えば、学生が提出したレポートを自身の言葉で説明させた上で採点するなど、が考えられます。
 一方、推奨しない場合には、生成AIを利用するとどのような点で学びにつながらないかを十分に説明する等の注意喚起を行ってください。

(2)研究面での利用

 前述の1-(1)~(3)に代表される生成AIを利用する上での留意点を十分に理解した上で、所属学会の行動規範や投稿先の投稿規定等を常に注視すると同時に、使用者の倫理的・道徳的責任を自覚し、かつ、慎重に利用するように心掛けてください。
 また、さらに一歩進めて、生成AIモデルを追加学習して研究活動に利用する場合には、以下の点にも注意してください。
 生成AIは大量のデータが必要となりますが、品質の高いデータセットを選定する必要があります。データの収集方法や権利にも留意し、適切な許可を得ることも必須です。また、生成AIは訓練データに含まれるバイアスを学習する可能性がありますので、公平かつ偏りのない結果を得るために、適切なバイアス検出と修正手法を導入してください。さらには、AIの動作原理や意思決定プロセスは複雑で理解しにくいことがありますので、生成AIの結果を利用する際には、その背後にある仕組みを説明し、説明責任を果たすよう努めてください。