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- 「イブニングセミナー2018」最終回【里山プロジェクト】について紹介しました
１月16日、地域・文化交流施設「Cross Square（クロススクエア）」において、「イブニングセミナー2018」第5回を開催し、「里山プロジェクト」の代表である高木 方隆教授（システム工学群/国土情報処理工学研究室）が、このプロジェクトの中から一部を紹介しながら心豊かな社会について問いかけました。
本セミナーは、地域課題に関する研究発表を通じ、参加者の方がと気軽に議論をしたり考えてもらうきっかけを作ることを目的に高知工科大学 地域連携機構が主催しています。
「里山プロジェクト」とは、2014年度から大学香美キャンパスからほど近い土佐山田町佐岡地区を里山生活圏ととらえ、実証フィールドを設置し幅広い分野の研究者が集まり、自然環境を計測・分析、歴史文化の調査、神社の再建、古民家の改修、森林の管理、有用植物の栽培などの 里山の基盤整備を行い、社会実装することを目的としています。
今回のセミナーで高木教授は、現在の四国の中山間地の状態を地質・地すべり・年間降水量・年間日射量・人工林分布などのデータを用いて説明し、昨年の豪雨災害で斜面崩壊が多いのは、針葉樹が植栽されているところが大多数であったことや、このままでは針葉樹の多い里山は人々が離れていくのみでなく、存在価値がなくなることが危惧されると指摘し、そのうえで今後自然の力を生かした心豊かな生活の実現を目指し、本プロジェクトを進めて行く予定であることを説明しました。
曳家を用いた古民家の改修、金峯神社の分割再建、地下水脈の調査、ボーリングによる地質調査、小字名調査などを紹介し、さらに調査結果をまとめるためのフィールドデータベースを2018年に公開して、植物の専門家や、歴史の専門家、地元の方々の多くの知識・知見を集約できるサイトができたことを報告しました。
住みたくなる里山を目指し、様々なデータ収集と解析により有用植物の自生を促したり、暮らしやすい適地を選定したり、大きいエネルギーを投入するのではなく、人間にも自然にも優しい土地利用計画の立案を大きな目標としています。
最後に高木教授が香北町の古民家に移り住み実践する里山生活から、近所の方々との触れ合いを通して、食や農作業など引き継がれてきた知恵などがそこにはあることを知り、それを自らの生活に生かしていることを紹介しました。
会場は、地域の方々や高知市や香美市役所職員、会社帰りの方、高校生等約30人が参加し、質疑応答では里山に住まないとわからないもの、研究を実施していく上での法的規制上の苦労はあるか等の質問が飛び交い、活発に議論が交わされました。
参加した高校生(2年生)は
「堅苦しい内容と思っていたら、聞きやすくさらに面白かった。自分は文系希望ですが友達に誘ってもらい来てみて、工学系のイメージが変わりました」 「都会へ出たいという希望があるけれど、田舎を見直せる良い機会になった」
また、株式会社相愛 勤務 須佐美 俊和(すさみ としかず)さんは
「技術の方向性をどういう風にするのかを考えさせられました。 現代の技術の方向性は、自動化、スピード化、大量生産化という方向に進んでいますが、今回の里山プロジェクトのお話では、自然の摂理にそったライフサイクルに付加価値を見出すような、真逆の方向にいっている点が大変興味深かったです。 そこには新しいビジネスの可能性も秘めていて、お話のありました農業以外でも新たな可能性があるのではないかと思いました。 私は、土地の利活用に関する仕事をしていますが、その土地が本来どのような土地であったかを調べることや、IOTを活用した各種センサーによる土地の気象データ分析のお話なども、今後のビジネスにおいて大変参考になりました」と、感想を話してくれました。
本年度よりを全5回の日程で開始した「イブニングセミナー」は、2019年度も引き続き開催を予定しています。詳細が決定しましたら大学公式ウェブサイトなどでお知らせします。
研究内容は難しく遠い物ではなく、参加される皆様の身近な角度から一考するきっかけとなれば幸いです。ぜひ足をお運びください。
2018年度 全5回は以下の内容で開催しました。
５月16日 防災とＢＣＰ（高木 方隆教授）
７月11日 これからの地域交通（西内 裕晶講師）
９月12日 地域における建築文化（渡辺 菊眞准教授）
11月21日 景観デザイン（重山 陽一郎教授）
１月16日 里山プロジェクト（高木 方隆 教授）
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