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フューチャー・デザイン研究所
研究所概要
持続可能で豊かな社会を構築する為には、現在を生きる我々が未来・将来世代を意識し重要な資本と文化を次世代へ継承する、そして、イノベーションとアイデアで新たな可能性を拓く必要があります。しかし、グローバル資本主義の激しい競争社会の中で、今を生きる何割の人々が十分に未来と将来世代の事を意識出来ているでしょうか。もしかすると、日々のタスクや成果に追われて自分のしている事、未来や将来世代との関係性について十分な意義や意味を見出せず、利己的に振る舞っているかもしれません。更に、現代の政治経済システムでは、未来や将来世代を十分に意識する、又は、彼らの利害や声を反映して行動する主体が存在しません。将来世代の為に金融市場において取引を行う、政治において投票を行うプレーヤーが欠如しているのです。故に、ツケを将来世代に残す様に、財政、環境、気候変動等、持続可能性の問題が至る所で深刻化しているのではないでしょうか。
ホスピス医として長年に渡り、死を運命付けられた多くの患者さん達に寄り添い看取って来た小澤竹俊さんは著書で言っています。「どんな後悔があっても、どの様な人間関係の中にあっても、自分の果たして来た役割やメッセージが未来の人々に引き継がれる事が分かれば、その人生は充足・完結する」と。人生が充足する条件として「将来世代が引き継いでくれるか否か」が重要だとの示唆だと思います。フューチャー・デザイン研究所は、現代に生きる人々が自己充足する為にも、持続可能性と将来可能性を未来と将来世代へ引き継ぎ、拓いて行く社会構築が必要だと考えています。その為に重要なのは「如何に現代に生きる人々が未来・将来世代を意識し、且つ、彼らの視点や立場も考慮しながら現代の意思決定・行動をするか」ではないでしょうか。
フューチャー・デザイン研究所は自己充足、持続可能性、将来可能性が高まる社会の創造と構築をビジョンとして掲げ、社会実験科学研究を通してそのビジョン達成に至る経路や方法の探索と確立をミッションとしています。自己充足する人々の割合の高い社会は素敵ではないでしょうか。イノベーションとアイデアで持続可能性と将来可能性を高められる社会を誰が否定するでしょうか。ビジョンとミッション達成の一つの手段として「将来世代」をプレイヤーとして現世代に導入する事で、現世代が将来世代へ資本と文化を継承する、イノベーションとアイデアを創出する、そして、自己充足、持続可能性、将来可能性が相互に高まる新たな社会創造を目指す枠組みが「フューチャー・デザイン」です。
ビジョンとミッション達成の為に解決すべき課題は多く存在します。これから経済は、生産過程の差異化から意味と意義の差異化の時代に突入すると云われています。AIや情報技術が爆発的に進化・発展した事で規則的な作業は人間の仕事では無くなり「創造的・芸術的」な作業、特に、意義と意味の創造が人間の仕事になると。つまり、意義や意味を求めて、人々はより創造的・芸術的になる事が求められる、イノベーションとアイデアで勝負する時代の到来です。さて、人間は、日々、創造的・芸術的に生きる事が求められる時、本当に自己充足するのでしょうか。フューチャー・デザイン研究所は、こうした疑問を科学的に明らかにし、どの様にすれば自己充足、持続可能性、将来可能性が高まる豊かな社会を構築出来るのか、ビジョンとミッションの達成に向け挑戦して行きます。研究所には、生物学、環境学、経済学、心理学、政治学、神経科学等、多分野の研究者達が在籍しています。多様な専門分野を持つ研究者達がラボ実験(実験室で行う実験)、フィールド実験(地域のフィールドで行う実験)、社会実験(地域社会で行う実験)、新たな理論構築、更には地域社会での実践を通じて、フューチャーデザイン研究に取り組んでいます。