ナノテクノロジー研究センター

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センター概要

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ナノテクノロジー研究センター(Center for Nanotechnology)は、2011年に開所したナノテクノロジー研究所の改組により、2014年4月に総合研究所に設置されました。また、2020年4月からは、ナノテクノロジー研究の更なる発展を目指し、センターの傘下に『先端機能材料デバイス分野』、『未来材料先端解析分野』の2分野を設けました。ナノテクノロジーはたいへん裾野の広い境界領域をもつ先端研究分野で、国の研究戦略の中でも重要な位置を占めています。

高知工科大学には、これまでに材料科学や電子工学分野でナノテクノロジー発展の重要な鍵となる多くの研究実績、成果の蓄積があります。それを礎とし、ナノテクノロジー研究センターでは、ナノ材料合成方法の開発、物性の評価、及びデバイス応用などでナノテクノロジー研究を先導し、高知県はもちろんのこと我が国の産業振興に貢献することを目標としています。ナノテクノロジーに関わる研究はクリーンルーム、透過型電子顕微鏡等の大型設備や高額な分析装置が必要となる傾向にあります。そのため高知工科大学では、個々の研究室でこれらの設備及び装置を保有運用することをせず、また分野を横断した組織的な研究プロジェクトによって新しい研究テーマが萌芽すると期待されることから、戦略的な研究資材投資を図っています。 その結果、多くの共同研究と競争的資金の獲得に結びつき、さらに毎年たくさんの学生が施設や機器を活用することで、教育効果も表れています。

ナノテクノロジー研究センターでは、今後さらなる研究推進と発展を目指しています。

先端機能材料デバイス分野

分野の目的

本分野は、金属酸化物半導体ナノ材料科学による量子機能材料・デバイスの創成、あらゆる曲面への材料合成・デバイス構築によるフレキシブル材料・デバイスの創成、ナノ材料・構造制御による超高感度センサーやナノチューブ材料を用いたニューロモーフィック素子の創成、を重点分野とし、材料・デバイス分野を専門とする教員間の連携によりナノテクノロジー分野における新たな領域開拓に取り組む分野です。材料合成に関しては結晶材料から非晶質材料に至る広範囲な状態制御を目指し、新たな欠陥評価および原子観察・操作を導入し、融合領域・新領域を創成します。またクリーンルームや硬X線光電子分光、プローブ顕微鏡等の特徴ある実験環境を用い、自らによる新材料の合成・評価からそのデバイス実証まで一貫した取り組みを行い、新たな教育・研究の実践に取り組んでまいります。

主要研究課題

量子機能材料・デバイスの創成

本テーマでは広範囲な結晶構造制御による量子機能材料・デバイスの創成を目標に、結晶性材料に関しては大気圧成膜手法であるミスト気相成長法による高品位金属酸化物単結晶材料を、非晶質材料においては水素化金属酸化物材料を重点材料とし、単結晶から非晶質までの広範囲な結晶構造領域における量子効果の発現に取り組みます。

新規フレキシブル材料・デバイスの創成

本テーマではあらゆる曲面への材料合成・デバイス構築を目指し、これまで成膜が困難であったチューブ内壁や異なる曲率面への薄膜合成技術の開発、材料合成温度の低温化によるプラスチック等のフレキシブル基材上で高性能デバイス実現等、これまでにないフレキシブル材料・デバイスの創成に取り組みます。

超高感度センサーやニューロモーフィック素子の創成

本テーマでは酸化物半導体ナノ構造制御による超高感度センシングデバイスやナノチューブ材料を用いたニューロモーフィック素子等、新たな材料・デバイス技術の創成に取り組みます。

未来材料先端解析分野

1997年4月に開学した高知工科大学は、「大学のあるべき姿を常に追求し、世界一流の大学をめざす」という高い志を掲げ、クォータ制などの先進的な教育システムをいち早く取り入れて、機動的に最先端を走っている。これを踏まえて世界第一線級の研究者が本大学に集まり、優れた研究環境のもと、世界トップクラスの研究成果を出し「目に見える研究拠点」形成を達成する必要がある。

本大学で教育・研究開発を強力に推し進めるためには様々な物質の組織・結晶構造あるいは電子構造等を正確に把握する必要がある。この目的を最も効率的に達成するための装置が透過電子顕微鏡である。2020年度、空間およびエネルギー分解能において長足の進歩を遂げた汎用的要素を含む透過電子顕微鏡を導入する運びとなり、原子分子材料を中心とした研究開発のポテンシャルを飛躍的に向上させる。多角的分析機能を持つ電子顕微鏡システムへの更新することによって、高知・四国におけるユーザーフレンドリーなナノ分析拠点を構築する。

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分野の目的

① 電子顕微鏡を中心とする最先端顕微装置・技術を学内の学生・教職員に提供し、高知工科大学の教育研究の先進化に貢献する。

② 社会のニーズに応える応用研究においては、国家科学技術戦略に直結するナノ・材料、バイオ及び環境・エネルギー等において先端的研究成果を上げることを目指す。

③ 電子顕微鏡学並びにその応用分野に関する国際的中核研究拠点として確立し、国内外の研究交流を支援するために、施設・設備の充実を図る。

④ 電子顕微鏡学及びその応用分野で産学官の連携・協力を推進する。特にナノテクノロジーや材料の分野で、地域と連携した研究課題を設定し、推進する。

⑤ 電子顕微鏡学及びその応用分野において世界規模での連携を強化するとともに、アジアの諸国の産学官との交流・連携を図る。

⑥ 世界規模での研究網を強化するとともに、アジア諸国の大学、研究所及び産業界との連携体制を構築する。

主要研究課題

新物質の発見・創製がゲームチェンジングとしての可能性を秘めており、電子顕微鏡によるナノ制御に基づいて、新物質の創出を目指す

① ナノ構造制御による新規触媒材料の創出(藤田)

② 金属有機構造体(MOF)の結晶構造の精密設計の実現と機能開拓(大谷)

③ 非平衡プロセス(量子ビームやプラズマ)に基づく新規半導体材料の作製と応用開拓(新田、百田、八田)

④ 新しいナノ炭素材料の創出(河野)

⑤ 新しい高温超伝導体の発見(前田)

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