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AGC株式会社

TODA Tatuya 戸田 達也さん

徹底的に調べ解き明かすことで答えを見つける研究の型を修得した学生時代。
AGC株式会社 技術本部 材料融合研究所 機能部材部 コーティングチーム
(工学部物質・環境システム工学科2011年卒業/大学院修士課程物質・環境システム工学コース2013年修了/大学院博士後期課程基盤工学コース2016年修了)

地元の大学で、姉が先に入学していたこともあり高知工科大学はよく知っている大学でした。受験に際しては、具体的な学びの目標があったわけではなく漠然と実験や研究がしたいというイメージで入学を決めました。当時は化学への興味が強かったので、想像した実験・研究のシーンでは白衣姿だったと記憶しています。ただ学びを重ねていくうちに、あらゆる現象を突き詰めて解き明かしていく物理の方が自分には合っている気がして、3年次からの研究室配属では古沢 浩教授のもとで「カーボンナノチューブ(CNT)の誘電泳動集積」の研究に取り組みました。単に記憶するような学びではなく、現象のメカニズムを物理的な解析により解き明かしていくような研究手法にふれてから学ぶことの面白さに目覚め、特に大学院に進学以降は電子顕微鏡などの設備の整ったN棟(ナノ創製センター)に毎日と言っていいほど入り浸っていました。

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大学卒業後の進路について大きく影響を受けたのは、3年次の夏に体験したインターンシップ。自分自身の専門性を問う機会となり、このままではまだ社会に出ることはできないと大学院への進学を決めました。大学院では環境理工学群に異動してきて間もない古田 守教授のご指導を仰ぎ、研究室の立ち上げから関わった、いわば古田先生の0世代です。学部生時代から院生まで長く面倒を見ていただいた古沢先生からは馴れ合いを排除した研究者としての気概や心構えをしっかり叩き込まれましたし、古田先生からは研究者・博士として何事もうやむやにしない、真理を探究する姿勢を教えていただきました。わからないことを徹底的に調べ、ひとつずつ事実を積み上げ、答えを導き出すという研究の型を身につけることができ、今の仕事の場においても自分自身の土台になっていると実感しています。

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修了後は液晶ディスプレイメーカーに勤務した後、2019年4月から世界最大級のガラスメーカーであるAGC株式会社の研究部門で研究開発に従事しています。ちょうど会社が力を入れていこうと考えている分野で必要な人材と自分の専門分野がピッタリ一致しての入社となりました。現在は、ガラス板に光学部材(レンズやフィルタなど)の膜を乗せ、新たな付加価値を生み出すという開発研究に携わっています。膜そのものの物性だけでは性能の限界があるので、フォトリソグラフィやドライエッチングなどの技術による微細加工を用い、より高い付加価値をつけられるよう研究開発に取り組んでいるところです。例えば、スマートフォンの付属カメラのレンズの厚みをもっと薄くするなど皆さんの身近なところにも役立てる成果が挙げられると思っています。できるだけ早く自分が開発した製品を世の中に出して、直接的にメリットを社会に還元できる存在になれるよう日々頑張っています。

Memory of My Campus Life

自宅生だったので、下宿生がドミトリー(寮)などで楽しそうにしているのが羨ましかったことを覚えています。同じ学科の友人たちとのグループで学祭では3年続けて模擬店を出店(焼きそば店を2回、チョコバナナの店1回)、お揃いの黒のポロシャツや浴衣などをユニフォームにして大いに楽しみました。今思えば、学部生時代にもっとしっかり勉強していればなあ、と思うこともありますが、あの時代でしか味わえなかったキャンパスライフを満喫でき、かけがえのない思い出となっています。

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みんな元気ですか?私も頑張ってます

大学院時代に共同研究先の企業で知り合った奥さんとの間で4歳と1歳の男の子に恵まれ、4人での暮らしを満喫しています。休日は家族で横浜や東京に出かけたり、家でヨーロッパサッカーの試合を観たりしてリラックスしています。

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2022年11月 取材