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シャープディスプレイテクノロジー株式会社

HOJI Kazuki 傍士 和輝さん

公立化とハイレベルなグランドピアノの存在に運命を感じました。
シャープディスプレイテクノロジー株式会社 事業本部 車載事業部 営業管理部 主任
(情報学群2013年卒業/大学院修士課程情報システム工学コース2015年修了)
情報分野や立体視など、子どもの頃の興味が、大学の研究そして現在の仕事へつながっています。

子どもの頃から家にあったパソコンに慣れ親しんでいたおかげで、中学生のときにはタッチタイプができ、情報の検索をこなし、ウェブサイトの作成などもできるようになっていました。大学は情報系に進もうと考えていましたが、経済的な理由もあって高校卒業後4年間は大学進学のための資金づくりにあてました。準備も整い、さあ受験というちょうどその年に、高知工科大学が公立大学化されました。質の高い情報系の教育を、地元で経済的負担を少なく学ぶことができるという機会に巡り会え、まさに「運命」を感じました。ただ、同級生とは4歳年が離れているので馴染めないのではという不安がありましたが、実際には年上ということでリーダー的な役割になることが多く、今も交流がある友人関係を築くことができました。

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研究室は、繁桝 博昭先生のもとで、主に裸眼立体視の奥行きが個人差でばらつくという課題の解決に取り組みました。子どもの頃、目の焦点をずらすと複雑な模様の絵柄から図形が立体的に浮き上がって見える「ステレオグラム」が流行っていたのですが、それを簡単に見ることができ、とても感動したという経験から、そのようなテーマを取り扱っている研究室に興味をもちました。人間の両目は左右の目の間が約6~7センチ離れていて左右それぞれの目で見えるものの形状は微妙に異なり、この微妙に違う画像を脳で処理して立体感を得ています。裸眼立体視はこの機能を利用して、メガネなどの機器を使用せず立体画像を見せる技術です。ただ立体の見え方には個人差があり、製品化するには、誰が見ても同じサイズの立体感を出せるようにしなければいけません。どのようにすればその誤差を無くすことができるかについての基礎研究に取り組みました。

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(国際学会にスタッフとして参加)

繁桝先生は普段は優しく接して頂ける反面、研究には手を抜くことなく、厳しく熱心に指導していただけました。
就職については、繁桝先生が共同研究されていたことで親しみもあり、シャープへの入社を決めました。入社当時から企画関係の仕事に携わっています。現在は、車載事業部に所属し、車のあらゆるディスプレイについて、様々な関連部署のマネジメントを行い、事業進行の旗振り役を担っています。時には現場と上層部の間をつなぎ意見の妥協点を探ったり、各部署での事業判断について相談にのったりなど、様々な事案のまとめ役ともいえます。最新のカーナビゲーションディスプレイには裸眼立体視やAR技術が組み込まれているので、顧客のニーズにも専門知識をもって対応できるところも、大学で得た知識が直接生きていると感じています。

独学で身につけたピアノの演奏が、大学時代から今も生活に彩を添えてくれています。

受験時に高知工科大学に強く魅かれたもうひとつの理由は、世界的に有名なスタインウエイのフルコンサートグランドピアノの存在。しかも自由に弾かせてもらえると知り、高知工科大学進学の決定打となりました。高校3年生の時に、些細なことがきっかけでピアノの猛練習を始めました。もちろんピアノの基礎練習などしたこともなく、ほぼ独学で自己流です。高度なテクニックを要するショパンの曲を2カ月でなんとか弾けるようにした時の周囲の驚いた顔が今でも忘れられません。

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(ストリートピアノでの演奏シーン)

大学に入学してすぐに勇気を奮い起こして事務局に行き、ピアノ同好会の設立に動き出しました。同じ思いを抱く仲間にも恵まれ、サークル活動を楽しむことができました。また、学内の音楽系のクラブやサークルの総勢100人を超えるメンバーを一同に会した音楽会を企画し、演出関係のリーダーとして大規模な音楽イベントを運営できたことも、今となっては大きな糧となる経験となりました。リーダーとしてうまく人を動かす難しさを体験できたことは、今の仕事にとても大きく役立っています。
現在もピアノ演奏が趣味で、各地のストリートピアノを巡り、演奏をしています。定期的に登場する場所には、ファンの方々が待ってくださるようになりました。これからも仕事とともにさらに磨きをかけていきたいと思います。

2023年7月 取材