• 経済・マネジメント学群
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  • 4年
  • 進化・社会心理学研究室

刈谷 百加 さん×三船 恒裕 准教授

「他人の不幸は蜜の味」の感情を喚起した時、人の身体には変化が起こるのだろうか?

三船准教授 FF81_三船先生・_X0A6512.jpg
そもそも刈谷さんが経済・マネジメント学群に入学しよと思ったきっかけは何だったんですか?


刈谷さんFF81_刈谷さん・_X0A6491.jpg
高校では理系のクラスだったんです。所属していた科学部という部活動の一環で、高知工科大学の永国寺キャンパスで開催されたサイエンスカフェに参加したのが、きっかけのひとつです。

三船准教授
では、サイエンスカフェの内容に魅かれて経済・マネジメント学群を選んだのですか?

刈谷さん
いえいえ、残念ながらそうではなくて、 永国寺キャンパスの綺麗さに、ここで学びたいなと。あと、専攻の数が多いので、この学群 なら、将来やりたいことを見つけることができるのではないかと考えたんです。

三船准教授
今は私の研究室に所属していますが、この分野に進もうと思ったのはいつ頃からですか?

刈谷さん
1年次の教養科目で受けた心理学の授業に興味を持ったのがきっかけです。日常生活の中での何気ない行動を科学的に分析す ることが面白く思えたのですが、経済学と関係があるとは最初は思ってもいなかったですね。 同じような分野の授業を選択して学ぶうちに関わりが見えてきて、研究室配属の時には迷わず三船先生の研究室を選びました。

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三船准教授 FF81_三船先生・_X0A6512.jpg
志望動機のしっかりした学生だな、というのが、刈谷さんの第一印象でした。研究テー マもスムーズに決まりましたね。

刈谷さんFF81_刈谷さん・_X0A6491.jpg
研究室への配属が決まって最初の課題「本を1冊読んで興味を持った点について話す」の時に巡り合った『シャーデンフロイデ』を 研究テーマにしようと思ってから、今まで全く ブレずに研究を続けています。

三船准教授
シャーデンフロイデとは、他者が不幸に見舞われたと見聞きした時に生じる快い感情、日本では「他人の不幸は蜜の味」と言われている感情のことですね。

刈谷さん
3年次には、このテーマに関する先行研究を調べたりしました。例えば実験的にシャー デンフロイデを感じさせると、お金をもらった時などに感じる喜びの場合と同じ脳部位が活性化することを示した研究が、科学学術雑誌 『サイエンス』に掲載されていました。

三船准教授
英語の論文までしっかり調べていて、刈谷さんの本気度が伝わってきました。

刈谷さん
4年になって、シャーデンフロイデを喚起した時、人の身体、具体的には心拍数に変化が起こるのだろうか、をテーマに研究をはじめました。被験者にシャーデンフロイデを喚起させる文章を読ませつつ心拍数を測るという実験を重ね、そのデータを検証しようと考えています。被験者に見せる画像を、より効果的なタイミングで切り替えるためのプログラムを作成することも、先生の助言をいただきながら、自分自身で取り組みました。

三船准教授
シャーデンフロイデと心拍数という着眼点も面白いし、他者との比較を伴う感情の研究は、行動経済学や国際政治学など様々な分野でも応用・活用されるポテンシャルをもつテーマだと思っています。

刈谷さん
4年間の大学生活は好きな研究に没頭でき、充実した最高の日々を送ることができました。学びの環境と先生に感謝しています。

進化・社会心理学研究室とは...

心の科学的理解をめざして、実験し、データを統計的に分析しながら、科学的に心を理解しようと試みています。まず、心を実験するとはどういうことかを学ぶため、グループで実習を行い、その後、個々人の興味に基づいて自分なりの仮説を検証する研究に進みます。

刈谷さんは頑張った!

前年度の成績が学群で上位1%の学生が表彰される「学業成績最優秀賞」を、刈谷さんはなんと2年連続受賞しています。とにかく授業に100%出席したことで、しっかり理解できたことが一番の理由だそうです。卒業後は、ICTコンサルティングやソフトウェア開発などを手がける企業に就職、エンジニアとして新たな挑戦を始めます。

掲載日:2024年2月/取材日:2021年8月