- 大学院
- 情報学群
- 修士課程 情報学コース
- 2年
- 画像情報工学研究室
末廣 いのり さん×栗原 徹 教授
- 3次元点群データを用いて、自動的にユズの葉数を推定できるシステムの構築に没頭中。
末廣さん
実は先生のことをあまり知らないまま、プロジェクションマッピング※に関わりたい一心で2年生の7月に特待生の特典、研究室への早期配属を利用して先生の研究室を選択したんです。
栗原教授
ちょうどその前の年に高知のアクトランドの企画で作品を制作し、次の年には大学のオープンキャンパスで時計台に投影、秋の大学祭に向けて作品の制作準備をしている時期でしたね。
末廣さん
プロジェクションマッピングに関われると楽しみに研究室に入ったものの夏休み返上で制作に取り組んでいる先輩方のハードワークぶりに圧倒されてしまって、自分だけでは到底できないと尻込みしてしまうほどでした。
栗原教授
では、私の研究室を選んだことを後悔したのではないですか?
末廣さん
確かに(笑)。ただ、先生の画像処理の講義を受けて改めてその面白さに魅力を感じ、継続して先生の研究室にお世話になっています。
栗原教授
講義では既に学習している知識 (点)の結びつきを多く与え、将来学習する専門分野との架け橋になるよう様々な結びつきを繰り返し説明するよう心がけていて、学生が興味をもつ点と新しい点を結びつけてあげることが講義の価値だと思っています。
末廣さん
研究室は中国からの留学生も多く、集まれば和気あいあいとした雰囲気です。栗原先生は学群で一番厳しいと噂されていますが、実はとても手厚く指導いただいています。毎週それぞれの研究の進捗状況を報告する会があり、自分の研究がうまく進んでいない時は焦りもしますが、他の学生の研究内容の報告を聞くことはとても刺激になります。
栗原教授
自分の研究以外のことを知ることは、幅広い視野を獲得することにとても有用だと思います。
末廣さん
私は、3次元レーザースキャナーなどで作成した3次元点群データを用いてユズの葉数を推定する研究に取り組んでいます。果樹の栽培では果実のサイ ズを大きく糖度を高くするために摘果(間引)するのですが、その際には「葉果比(果実が1個大きくなるために必要な葉っぱの枚数)」が目安になっています。 また、摘果することで、実がなり過ぎ次の年に不作になるという不安定な収量を防ぐ狙いもあります。ただ手作業で葉を数えるにはかなり大変な作業になるため、点群データを用いて自動的に葉数を推定できるシステムを完成させようと日々研究に没頭しています。
栗原教授
末廣さんはポジティブな性格で、落ち着いて俯瞰的に状況を把握できる能力をもっています。スケジューリングやコミュニケーションの能力もあり、社会人としての総合力は非常に高いものがあります。希望する業種への就職も早々と決まったことですし、残りの院生生活をかけて研究を完成させ、多くの専門家を唸らせるような論文の執筆に挑戦してもらいたいですね。
※ 建物などの物体に、プロジェクターを使って映像を投影し、重ね合わせた映像に様々な視覚効果を与える技術・パフォーマンスのこと
画像情報工学研究室では...
本研究室では、物理世界に密着し、物理に即した画像情報処理を展開し、有用で安定した画像検査装置の開発や人にやさしい社会の実現のための画像処理技術を研究しています。
末廣さんは頑張った!
ソフトウェア開発演習という講義を通して、人々の暮らしに関する課題を解決するシステムづくりにやりがいを感じたことから、ソリューションを企画・開発する職種に就きたいと思いました。就職活動に取り組む中で、無事念願のSE職としてソリューション開発に携わる仕事に就けることが決まりました。
掲載日:2024年2月/取材日:2023年3月