• システム工学群
  • 大学院
  • 修士課程 航空宇宙工学コース
  • 2年
  • 宇宙地球探査システム研究室

山本 耕大 さん×山本 真行 教授

投下貫入型探査機「ペネトレータ」で高効率・経済的な月惑星観測システムを開発

山本(耕)さん ★山本耕大さん鬮倡衍蟾・遘大、ァ蟄ヲ讒論FF87謦ョ蠖ア繝・y繝シ繧ソ・・023.7.12・・_X0A3356.jpg
高校2年生の頃、先生の勧めで自作した空き缶サイズの"模擬"人工衛星を打ち上げて技術力や創造力を競う「缶サット甲子園」に参加しました。それを機に興味をもった人工衛星について調べていたとき、山本先生が執筆された「火星環境を模擬したインフラサウンドセンサーの耐環境試験」の論文を目にし、「この先生のもとで研究できれば、人工衛星の設計・製作に携わりたいという目標に近づける」と感じたことが、高知工科大学をめざしたきっかけでした。

山本教授 ★山本先生鬮倡衍蟾・遘大、ァ蟄ヲ讒論FF87謦ョ蠖ア繝・y繝シ繧ソ・・023.7.12・・_X0A3356.jpg
耕大くんは1年生の頃から研究室に出入りするようになったよね。私は来るもの拒まずの精神なので、そういう学生さんはウェルカムなんです。ちょっとのぞいているうちに、先輩と顔見知りに なってなんとなく居場所ができていく、それっていいなと思っていて。

山本(耕)さん
まさに居候のような状態でした(笑)。先輩方からあらゆる情報が自ずと入ってくるのはありがたい反面、研究テーマの絞り込みには苦労しました。結果的に学士では、電磁波を利用して地中の構造を調べる「地中探査レーダ」をテーマとし、将来、有人の宇宙探査で水資源を見つけるために、性能の向上や軽量化に向けた開発を進めてきました。そして、修士では新たに「ペネトレータ」の開発に着手し、月や惑星の自然現象を観測するための効率的かつ経済的な観測システムの構築をめざしています。

山本教授
耕大くんが、地表に衝突して貫入する小型探査機のペネトレータに興味をもつきっかけとなったのが、修士1年の頃に西川 泰弘先生とともに参加した 「第64次南極地域観測隊※」だったよね。

山本(耕)さん
はい。南極で携わった研究は、地震計などを搭載したペネトレータを設置し、地震活動や氷河の崩落などの動きを把握するために適切な実験場所の選定や観測条件を明らかにすることでした。 その中で、私は実験の補助的な役割として、ペネトレータの投入時に使用するドローンの準備、南極上空でのドローンの航路プログラミング、ペネトレータの立上げ、保守などの業務を担いました。

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山本教授 ★山本先生鬮倡衍蟾・遘大、ァ蟄ヲ讒論FF87謦ョ蠖ア繝・y繝シ繧ソ・・023.7.12・・_X0A3356.jpg
プロジェクト初年度という重責の中、その任務を無事に全うできましたね。実際に南極に行ってみてどうだった?

山本(耕)さん ★山本耕大さん鬮倡衍蟾・遘大、ァ蟄ヲ讒論FF87謦ョ蠖ア繝・y繝シ繧ソ・・023.7.12・・_X0A3356.jpg
インフラはおろか文明すらない南極のような場所に行くと、一人では何 もできないことを思い知らされました。観測活動ひとつとっても、多くの方々の支援があって初めて成立することを実感できたのは貴重な経験となりました。

山本教授
南極という極限状態の場を経験できたことは今後の研究活動の中で大いに生きてくるだろうと思います。こうした経験を重ねたことで、学士の頃と比べると、だいぶ学術的な話ができるようになったよね。

山本(耕)さん
学士では機器を製作してデータを解析することだけで精一杯でしたが、現在は研究の背景にも重きを置き、自分の研究が分野のどの立ち位置にあるのかを考えながら取り組めるようになったと思います。

山本教授
もうひとつ、耕大くんが南極観測に関わってよかったことは、このプロ ジェクトの代表者であり、ペネトレータ研究の第一人者でもある宇宙科学研究所 (ISAS/JAXA)の田中 智教授に出会えたことです。ペネトレータのことを知り尽くした田中教授と直接話ができ、実際に機器を操作できたことは、今後研究を進めていくうえで大きな推進力になるはずです。

山本(耕)さん
それは間違いないと思います。南極での経験を通して、修士課程修了後は博士課程へ進み、田中教授のもと でペネトレータの研究を続けたいという目標が生まれました。

山本教授
研究活動はひとつの大学に留まるものではありません。ぜひ田中教授のもとで学び、まずは田中教授が蓄積してこられた技術を継承できる人になってもらいたいですね。耕大くんは工学の知識に加え、自ら手を動かしてものづくりができるところがすばらしいと思っています。将来は研究機関であれ一般企業であれ、どこに行っても活躍できるだろうと期待しています。

※宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)の田中智教授が代表を務める南極観測事業の萌芽研究観測「南極観測用ペネトレータの開発と、白瀬氷河および周辺域での集中観測」のもとで実施された。

宇宙地球探査システム研究室では...

宇宙や地球に広がる未知なる領域を探る新しい探査手法を開発し、それによって地球という惑星に住む私たちの生存環境への理解を深めるとともに、宇宙探査・防災・エネルギー問題など近未来に解決すべき困難な課題に関わる研究を進めいます。

山本 耕大さんは頑張っています!

南極地域での観測について、西川助教から初めて話があったのは学士4年生の頃。高校時代から技術系サークルで活動してきた耕大さんは、これまでの経験を生かせると感じたことから自ら手を挙げたそうです。その前向きな挑戦は「今後もペネトレータ研究を継続したい」という意欲につながり、博士課程で世界的にメジャーとなるようなペネトレータの設計システムを開発することが今の目標です。

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(南極での実験風景 西川助教(左)と山本 耕大さん(右))

掲載日:2024年2月/取材日:2023年7月