機能化学専攻(令和5年度入学生~)
ナノサイズの分子を設計・組み立て・評価し、"ものづくり"の原点を学ぶ
学ぶ意義
身の回りの物質は、「光る」「曲がる」「歪む」「取り込む」「吸い着く」など様々な機能をもっています。これらの機能を生み出し、さらに高性能化して私たちの生活に役立てるには、原子や分子レベルでの設計・合成・評価が必要です。本専攻では、物質の構造や性質、反応に関する基礎知識を習得するための教育と、化学を駆使した機能性物質の開発に取り組んでいます。さらに修士課程では、より高度で実践的な研究活動を通じて機能性物質をつくり、評価する専門力を養います。
将来の展開
化学とは、様々な現象や性質を物質の立場から探究する学問です。一見関連性がない事象同士であっても俯瞰することができる「化学の視点」を身につけます。さらに研究活動を通して、問題点を見極め、議論と実験を重ねながら検証し、成果をまとめて発表するというプロセスを経験し、世界に通用する研究力を身につけます。そうして得た知識と経験を生かして、研究者、技術者、教育者など、化学の分野に限らず様々な分野で活躍できる人材として育つことをめざします。
こんな講義があります
有機化学1、2、3
電子の動きを考えることによって、有機分子がどのように振る舞うのか、あるいは、化学反応がどのように進行するのかを理解します。そして、化学反応は覚えるものではなく、考えればある程度予測できるものであることを学びます。
物理化学
物質の挙動や化学反応を熱力学、化学平衡、速度論の観点からとらえることを学びます。化学反応を考えることは、エネルギーを考えることです。それが平衡の偏りや反応速度の変化にもつながることを学び、論理的なアプローチの仕方を身につけます。
こんな研究室があります
※専攻・副専攻に関わらず、学群内のすべての研究室を志望することができます。
機能性ナノマテリアル研究室 (大谷 政孝教授)
金属イオンと有機分子から作り出される空間と機能
身の回りの建築物では、素材の組み合わせや広さにより、内部の空間の快適さや機能は変わります。ミクロな分子の世界でも同様に、材料内部の空間はその機能性と深く関わっています。我々の研究室では、ある種の金属イオンと有機分子の組み合わせから作り出される結晶性の「ナノ空間」に注目して研究を行っています。特に、環境のわずかな違いで、得られる結晶の大きさや外形が異なる点に着目し、電子顕微鏡やX線回折などの様々な分析法を駆使してナノ空間の形成過程や機能発現の解明に取り組んでいます。これらの研究を発展させて、ナノ空間を利用した二酸化炭素の回収や、触媒作用による資源化反応への応用をめざしています。
光機能化学研究室 (伊藤 亮孝教授)
光を吸収・放出する物質の創出とその機能解明
物質が可視光を吸収・放出すると私たちには色がついたり光って視えます。普段目にするインクやディスプレイなどは、これらの現象を利用して私たちに様々な視覚情報を与えてくれています。本研究室では、有機化合物や有機-無機複合化合物、あるいはそれらの複合体を基本とする様々な光吸収・発光物質の開発と機能解明を行っています。色素としての利用のほか、光吸収をきっかけとするエネルギー変換反応への応用や「目に視える」という特徴を生かした新しい機能の創出をめざしています。
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